信頼性評価試験、環境試験

オゾン試験: 大型製品に対応した高濃度オゾン試験にも対応

オゾン試験

オゾンとは、自然大気中に存在する酸素の同素体である無色の気体です。酸素原子からなるオゾンは強力な酸化作用を有し、屋外で使用されるゴム製品、プラスチック、塗料、繊維等の亀裂やひび割れを発生させる原因の一つとして考えられます。
OKIエンジニアリングでは、人工的に発生させたオゾンを含む空気中に試験品を暴露し、耐オゾン性を促進試験する『オゾンによる劣化試験』など、実際に使用される現場を想定したオゾン試験が可能です。オゾン濃度調節は紫外線吸収法を採用しています。オゾン試験後のユニットの試験片に独自の表面処理を行うことで、孔食の深さの分布状況を面分布としてデータ化(孔食の定量化)する耐腐食評価も実施いたします。
また、当社では大型製品に対応した高濃度オゾン試験にも対応しております。

オゾン試験機の写真

オゾン試験の対応規格

規格 試験名・方法
JIS K 6259
( ISO 1431 )
加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム-耐オゾン性の求め方
条件:温度40±2℃,オゾン濃度50±5pphm(25,100,200pphmも可)※湿度を加える場合もあり
試験槽内空気が排出され、且つ循環できるもので槽内空気(オゾン含む)の平均流速を8mm/s以上、
できれば12~16mm/sに調節できるもの
JIS K 6301 加硫ゴム物理試験方法(廃版)→ JIS K 6259に移行
条件:温度40±2℃,オゾン濃度50±5pphm
空気は1分間に槽内の約3/4を排出できるもので無ければならない
JIS D 0205 自動車部品の耐候性試験(WAO 促進耐オゾン試験)
※放置試験のみ対応しております。
試験方法:JIS K 6301に準拠
対象:プラスチック,人工皮革,繊維、加硫ゴムを使用した自動車部品
分類:WAO(促進耐オゾン試験)
条件:温度40±2℃,オゾン濃度50±5pphm(=0.5ppm)

その他にもお客様のご要望の条件に合わせた評価に対応いたします。

オゾン濃度とクラック発生時間

ゴムと樹脂の特徴

オゾン濃度とクラック発生時間の関係
オゾン濃度とクラック発生時間の関係

ゴム(合成ゴム)特徴

わずかな力で大きく伸び、外力を除くと殆ど瞬間的に元に戻る物質(ガラス転移温度が低い)

  • 柔らかい
  • 大きく変形しても壊れない
  • かなり大きく変形しても元に戻る
NR(natural rubber)
:天然ゴム
SBR(styrene-butadiene rubber)
:スチレン・ブタジエンゴム
CR(polychloroprene)
:クロロプレンゴム
  • 参考文献
    ラバーダイジェスト社 秋葉光雄・林茂吉 著
    ゴム・エラストマーの劣化と寿命予測より
ゴム(合成ゴム)の耐オゾン性
ゴム種 NBR
(nitrile-butadiene rubber)
:ニトリルゴム
EPDM
(Ethylene Propylene Rubber)
:エチレンプロピレンゴム
CR(polychloroprene)
:クロロプレンゴム
化学的構造 NBR構造式
アクリロニトリル/
ブタジエン共重合体
EPDM構造式
エチレン/プロピレン/
ジエン三元共重合体
CR構造式
ポリクロロプレン
耐オゾン性 ×
主な使用用途 オイルシール、ガスケット、耐油ホース、コンベヤベルト、印刷ロール、紡績用トップロールなどの耐油製品 電線被覆、自動車のウェザーストリップ、窓わくゴム、スチームホース、コンベヤベルト、防水シート、タイヤチューブ 電線被覆、コンベヤベルト、防振ゴム、窓わくゴム、接着剤、ゴム引布および一般工業用品、塗料

◎:全くあるいはほとんど影響はない
○:条件により十分使用に耐える
△:若干の影響がある
×:大きく影響があるため使用に適さない

樹脂(合成樹脂)の特徴

変形しても元に戻らない。高分子の状態が異なる物質。また熱に弱い(ガラス転移温度が高い)

樹脂(合成樹脂)の耐オゾン性
樹脂種 塩化ビニール
PVC(グレー)
ナイロン66
PA66
ポリプロピレン
PP(黒)
ABS
ABS(白)
ポリエチレン
PE(高密度)
耐オゾン性 ×
主な使用用途 上・下水道管、継手、雨樋、サッシ 食品フィルム、自動車部品(ラジエータータンク、冷却ファン他) 家電、自動車部品、食品容器、トレイ OA機器、自動車部品(内外装品)、ゲーム機 包装材、バケツ、ガソリンタンク

◎:全くあるいはほとんど影響はない
○:条件により十分使用に耐える
△:若干の影響がある
×:大きく影響があるため使用に適さない

ゴム・樹脂のオゾン試験劣化解析

オゾンによる劣化試験後は、主に実体顕微鏡、デジタルマイクロスコープで試験対象試料の表面観察を行いますが、走査型電子顕微鏡によりクラックやひび割れの状態について拡大観察も可能です。また、赤外分光装置による主体成分分解析に加え添加物や複合成分の解析、積層構造物解析、微量付着物同定、化学的構造の変化による定量的な測定もいたします。

各種ゴム酸化の化学的構造について

各種ゴムの2重結合部分にオゾンが攻撃しオゾナイド(I)が生じます。オゾナイド(I)の状態では不安定なためO-O結合部で切断され(Ⅱ)のように一つの構造の中に両性イオンおよびケトンを形成します。生成した(Ⅲ)両性イオンと(Ⅳ)ケトンのうち、赤外分光分析で確認がしやすいケ トンの増減に着目し劣化の評価を行います。

オゾンが2重結合部に反応し、ケトンが生成
オゾンが2重結合部に反応し、ケトンが生成

静的オゾン劣化試験・外観観察・化学的構造の変化定量測定事例

ゴム(ニトリルゴム:NBR)の耐オゾン性試験の外観観察例
試験方法
JIS D 0205(1976)自動車部品の耐候性試験方法
試験種類
促進耐オゾン試験(WAO)
温度
40±2℃
オゾン濃度
50±5pphm

ニトリルゴム(NBR)の劣化試験後の外観観察
ニトリルゴム(NBR)の劣化試験後の外観観察

ゴム(ニトリルゴム:NBR)の耐オゾン性試験の化学的構造の変化定量測定事例

劣化が進行すると赤外吸収スペクトル上でケトン基の吸収が増加します。

ニトリルゴム(NBR)の劣化試験後のFT-IRによる化学的構造の変化による定量的な測定

ゴム(クロロプレンゴム:CR)の耐オゾン性試験の化学的構造の変化定量測定事例

劣化が進行すると赤外吸収スペクトル上でケトン基の吸収が増加します。

クロロプレンゴム(CR)の劣化試験後のFT-IRによる化学的構造の変化による定量的な測定

各種ゴム(NBR、EPDM、CR)の耐オゾン性試験後の外観観察比較例

試験方法
JIS D 0205(1976)自動車部品の耐候性試験方法
試験種類
促進耐オゾン試験(WAO)
温度
40±2℃
オゾン濃度
50±5pphm

各種ゴム(NBR、EPDM、CR)の耐オゾン性試験後の外観観察比較例

大型製品の高濃度オゾン試験

近年、自動車業界の大きな技術改革により、大型化したユニットでの試験のご依頼が増加しています。OKIエンジニアリングでは、従来の試験片を使用したオゾン試験のみでなく、大型かつ高濃度、湿度コントロール等も可能な試験設備を導入しております。これにより、たとえばタイヤ丸ごとの試験が可能になるなど、お客様の大型製品の開発に貢献することが可能です。

  • オゾン試験機外観
    オゾン試験機外観
  • オゾン試験機へ試料設置の様子
    オゾン試験機へ試料設置の様子

大型製品の高濃度オゾン試験の特長

大型製品対応
従来、テストピースやダンベル試験片などのサイズが小さい試料を対象としてきましたが、自動車部品の一体型によるユニットや完成品に近い試料を試験するご要望に対応することが可能です。
構造が複雑化して単なるテストピースでは再現できないような試料の試験に対応可能です。
また、自動車用タイヤ程度のサイズ(例:215/70/R17 ※1)であれば、切断することなくそのまま試験が実施可能であり、切断による試料への悪影響を無くしたり、手間を省くことができます。
高濃度対応
JIS D 0205にも記載があるように、オゾン試験の標準的な濃度は、0.5ppm(50pphm)です。
しかし、近年の環境破壊で大気のオゾン濃度は高くなってきています。そういった状況を再現するためにも高濃度対応を可能としました。
また、濃度を上げて高い加速度で試験を実施したい、というお客様のご要望にも対応可能です。
湿度対応
これまでの標準的なオゾン試験では、湿度はあまり考慮されていませんでした。
実際の環境に近い湿度を条件として加えることで、より現実に近い環境での再現試験が可能です。
動的試験対応
上記の条件において、引張ひずみが掛かることによる、さらに厳しい条件で試験が可能です。
タイヤなどの外部から応力が掛かる状況の再現が対応可能となります。(※2
  • ※1 タイヤサイズについてはこれに限定しませんので、ご相談ください。
  • ※2 動的試験について現時点では、テストピースのみ対応となります。

高濃度オゾン試験事例

当社で実施した高濃度オゾン試験の事例を紹介します。
試験後に、自動車用タイヤの表面が劣化していることがわかります。

試験条件
オゾン濃度
200ppm
温度
40℃
湿度
60%RH
試験時間
24時間

※比較のため、条件を厳しくしております。

試料

自動車用タイヤ

  • 【試験前】タイヤ表面状態
    【試験前】タイヤ表面状態
  • 【試験後】タイヤ表面が劣化した状態
    【試験後】タイヤ表面が劣化した状態

設備一覧

オゾンウェザーメーター
設備名 型名 製造者 主な仕様
オゾンウェザーメーター OMS-L スガ試験機 試験槽内寸法:500(W)×500(D)×500(H)mm
オゾン発生装置:オゾン灯方式、紫外線吸収法
オゾン濃度範囲:20~250pphm(0.2ppm~2.5ppm)
温度調節範囲:室温+10℃~60℃
オゾンウェザーメーター OMS-LWZ スガ試験機 試験槽内寸法:500(W)×500(D)×500(H)mm
オゾン発生装置:オゾン灯方式、紫外線吸収法
オゾン濃度範囲:20~250pphm(0.2ppm~2.5ppm)
温度調節範囲:室温+10℃~60℃
旧JIS K 6259-1993、新JIS K 6259-2004 に対応
オゾンウェザーメーター
(大型製品
対応)
OMS-HNZ スガ試験機 試験槽内寸法:1000(W)× 1000(D)×1000(H)mm
オゾン発生装置:〔低濃度〕オゾン灯方式
                                    〔高濃度〕無声放電方式
                                      紫外線吸収法
オゾン濃度範囲:〔低濃度〕
                                     20~250pphm(0.2~2.5ppm)
                                    〔高濃度〕
                                     100~20000pphm(1~200ppm)
温度調整範囲:40~60℃
湿度調整範囲:60~95%Rh(温度40℃時)
試験の種類:静的試験、動的試験
主な規格対応:JIS K 6259(1993、2004)、JIS D 0205

この他にもOKIエンジニアリングの環境試験の設備にて、さまざまな各種環境試験に対応しています。

見積り依頼方法

お見積りのご依頼は、下記の見積り依頼書をダウンロードし、品名情報、試験条件詳細をご記入の上、にお送りください。

  • Excelは、米国Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です。
 オゾン試験のお問い合わせ先
WEBからのお問い合わせ:お問い合わせフォームはこちら
電話:0495-22-8140

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