フォトカプラの長期信頼性試験: 長期信頼性試験をご提供
市場において約10年間使用したフォトカプラ(入力:GaAs,LED-出力:Si,npnフォトトランジスタ)について加速試験(高温通電試験、6000時間)を実施しました。フォトカプラの特性値の一つであるCTR(Current Transfer Ratio:電流伝達率)について、試験前、3000時間後、6000時間後の特性データを正規確率紙にプロットしました。CTRの最大値近傍値の減少は、他と比較し大きいが全体としてほぼ正規分布の状態で変動していることが観測されました。
CTRの正規確率プロット
CTRは入力順電流(IF)に対する出力側光電流(Ic)の比(Ic/IF)で定義され、フォトカプラの重要な特性の一つです。また、CTRはαを定数、η0をLEDの発光効率、γを結合材の光伝達率、hFEをフォトトランジスタの電流増幅率とすれば、次式で表せます。
CTRの劣化は、接合温度が100℃以下の場合、γおよびhFEの劣化よりも、LEDの発光効率(η0)の劣化が主原因とされています。LEDの発光効率の劣化は、P領域中の格子間原子あるいは結晶内汚染物質(Cu,Mg,Be等)がGa空格子と置換しトラップ準位を形成することによる非発光電流成分の増加であると考えられています。