リチウムイオン二次電池解析: リチウムイオン二次電池の信頼性に関連する評価
リチウムイオン二次電池は、産業用途から車載、ポータブル機器やウェアラブル端末にいたるまで、私たちの生活における様々な用途で使用されています。車載においてはEVやハイブリッドカーの普及、またポータブル機器・ウェアラブル端末においてはスマートフォンやそれに付随するBluetooth機器の普及拡大が加速しています。ただし、これまでの二次電池と比較して高性能で他用途に適用可能なリチウムイオン二次電池ですが、市場では発熱・発火事故の発生が報告されています。近年事故が多発しているモバイルバッテリーについては、経済産業省より電気用品安全法で規制対象にもなっています。
OKIエンジニアリングでは、このように重大な事故に繋がりかねないリチウムイオン二次電池の信頼性に関連する試験・評価・解析をご提案いたします。
リチウムイオン電池は、正極にリチウム金属酸化物、負極にグラファイト等の炭素材、電解液に非水溶液系有機電解質が使われます。負極から正極にリチウムイオンが移動することで放電され、外部回路に電流が流れます。また、電源をつなぐと、正極から負極にリチウムイオンが移動することで充電されます。
リチウムイオン電池の放電充電の仕組み
マイクロフォーカスX線CT(以下、X線CT)による非破壊での内部構造調査により、 劣化状態の把握や原因の解析を行います。ハイパワーX線源と、高分解能、高階調検出器を搭載した高機能X線CTにより、様々な角度から非破壊で構造情報を取得した事例を紹介します。
解析対象リチウムイオン二次電池
充放電特性不良のリチウムイオン二次電池について、X線CTによる解析を行いました。リチウムイオン二次電池の構造は、一般にAl正極箔とCu負極箔が使用されています。MPR像の断面拡大観察により、Cu負極箔の巻き乱れが確認されました。また、正極グラファイト層の多層積層間に異物が確認されました。分解・観察では確認が困難な、充放電不良の要因となりうる混入異物を、X線CTにより非破壊で検出することができました。
電極箔部のVR像
非破壊で微小な構造体の内部情報を取得可能なX線CTは、構造上の造りつけの不具合や製造の不具合に起因する混入異物の検知など、さまざまな異常要因の洗い出しに有効です。