近年、低消費電力で長寿命という特長を有することから、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)が急速に市場を拡大してきております。ただし長寿命といわれているLEDにおいても、工業製品である以上は、作り込み品質の不完全さや設計の妥当性が疑われる製品が流通する可能性は否めません。このような作り込み品質の評価手法として、当社ではこれまでに信頼性試験、良品解析を実施してきております。これらに熱特性および、光特性評価を加え、各種測定、試験、解析等の総合評価サービスをご提供いたします。
目視および実体顕微鏡を使用した、パッケージおよびリード端子表面の外観検査により、各部のバリ残り、傷、変色等、不具合箇所の検査を実施いたします。また、必要に応じて、各部位の寸法情報を取得し、カタログスペックからの逸脱がないか確認を行います。
当社では透過X線観察装置とX線CT装置を有しており、目的に応じて適切な観察・検査を可能としております。LED電球等のシステムからLED素子単体まで、アセンブリ工程の異常検出に有効な非破壊検査手法です。
基本的な特性異常の有無を確認するため、カタログスペック(Vf、Ir等)に沿った電気的特性情報の取得を行います。異常の確認された素子については、別途故障解析的アプローチへ、シームレスに移行可能です。
電気的特性 取得例(イメージ)
一般にLEDを含め、半導体素子の寿命はその接合温度に依存します。すなわち、放熱性の悪い素子設計や実装状態では、信頼性が急速に劣化すると言えます。当社でご提供している熱過渡特性解析(熱抵抗測定) では、素子単体のみならず、実装状態(※1)を含めた熱特性の評価を、専用TEGを必要とせずに実施することが可能です。実装不全に伴う放熱性不足に起因した信頼性低下を回避するための評価として、有効な解析手法です。当社では、LED機器の熱設計に重要となる熱抵抗を、光特性を考慮した、より正確なアウトプットとしてご提供いたします。
MentorGraphics社の熱過渡解析装置T3Ster®と、そのアドオン設備であるTeraLED®を組み合わせて評価を行うことにより、パワーLEDの各種光学特性の取得、ならびに光特性を考慮した正確な熱抵抗を構造関数としてアウトプットすることができます。
光特性評価システム TeraLED®
光特性を考慮しないと、得られる熱抵抗値は電力変換効率に応じて数割方低い結果となってしまいます。そのため、LEDの熱抵抗を正しく評価するには、光特性の測定・適用が重要です。
外観からでは取得が不可能な内部情報の取得を目的として、LED表面の樹脂を機械的・化学的に除去した後に、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して内部組み立て状態やチップ(素子)表面の詳細な観察・検査を実施いたします。LEDの封止樹脂は製造メーカー毎に特性の異なる樹脂を使用しているため、当社では各種の樹脂除去手法を準備し、必要に応じて最適な手法を選択可能としております。 内部の詳細な観察・検査を実施することで、外観からでは検知が困難なチップ(素子)表面の異常や、アセンブリ組み立ての異常を検知可能としております。
チップ表面検査 観察例