繊維に使用されるアゾ染料、塗料に含有するアゾ顔料、電子部品材料中のアゾ化合物等のアゾ基(-N=N-)が人体における酵素作用により還元切断されるとアミン類を生成することがわかっており、生成するアミン類は体内摂取時に発がん性物質となるため、国内外の法令により規制されています。OKIエンジニアリングでは、還元分解ガスクロマトグラフ質量分析法を用いて試料を還元分解させ、生成した特定アミン類を定量分析いたします。
欧州連合はREACH規則1907/2006付属書ⅩⅦ 、ドイツ食品・日用品法令などでアミン類の取り扱いについて規定しています。特にドイツ食品・日用品法令では、アゾ基が人体における酵素作用により還元切断され芳香族アミン(22成分が規制の対象:規制値30ppm)を生成するアゾ染料を含む日用品の製造、輸入、販売の禁止を定め、禁止物質不使用証明書または分析証明書の提出を定めています。中国では、芳香族アミン(アゾ染料)24成分が規制の対象となっており、規定のGB規格に基づいて試験を実施しなければなりません。国内においてもグリーン調達規制が検討されており、今後特定アミン類について、法律により規制されることが予想されます。繊維業界では、繊維産業連盟が「繊維製品に係る有害物質の不使用に関する自主基準」を2009年12月22日に策定(2010年8月20日改定)し、運用準備中です。
地域 | 規則・規定 | 試験方法 |
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国際 | Oeko-Tex Standard(エコテックス規格) | エコテックス規格(スタンダード)100 |
欧州 | 欧州連合:REACH規則(EC) 1907/2006 付属書ⅩⅦ ドイツ:消費財条例(BedGgstV)、食品・日用品法(35 LMBG) |
ISO/TS 17234:2003 EN14362-1,2 LMBG82.02.2、LMBG82.02.3他92-87-5 |
米国 | EU指令、REACH規則に準拠 | |
中国 | 国家繊維製品 基本安全技術規範(GB18401-2003) 消費品使用説明 繊維製品服装品使用説明(GB5296.4-1998) |
GB/T 17592-2006 |
日本 | 自主規制:化学物質審査規制法(第2種監マーク事視物質) エコマーク、繊維産業連盟自主基準 |
JIS規格は未制定 |
No. | 特定アミン | CAS番号 |
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1 | 4,4’-メチレンジアニリン | 101-77-9 |
2 | 4,4’-ジアミノジフェニルエーテル | 101-80-4 |
3 | ベンジジン | 92-87-5 |
4 | 4,4’-ジアミノ-3,3’-ジメチルジフェニルメタン | 838-88-0 |
5 | 2,4-トルエンジアミン | 95-80-7 |
6 | 2,4-ジアミノアニソール | 615-05-4 |
7 | 4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド | 139-65-1 |
8 | 3,3’-ジメチルベンジジン | 119-93-7 |
9 | 3,3’-ジメトキシベンジジン | 119-90-4 |
10 | o-トルイジン | 95-53-4 |
11 | o-アニシジン | 90-04-0 |
12 | p-クロロアニリン | 106-47-8 |
13 | 2-メトキシ-5-メチルアニリン | 120-71-8 |
14 | 2-ナフチルアミン | 91-59-8 |
15 | 2,4,5-トリメチルアニリン | 137-17-7 |
16 | 4-クロロ-2-メチルアニリン | 95-69-2 |
17 | 3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノジフェニルメタン | 101-14-4 |
18 | 4-アミノアゾベンゼン | 60-09-3 |
19 | 3,3’-ジクロロベンジジン | 91-94-1 |
20 | o-アミノアゾトルエン | 97-56-3 |
21 | 5-ニトロ-o-トルイジン | 99-55-8 |
22 | 4-アミノビフェニル | 92-67-1 |