低分子シロキサン分析: 低分子シロキサン障害、消化ガス中の低分子シロキサンによる障害
シロキサンとは(-Si-O-Si-)nを分子骨格に持つ、けい酸有機化合物の総称で、主として直鎖構造を持つものと環状構造を持つものに分けられ、シリコーン(けい素を示すシリコンではなくシリコーン)とも言われます。その分子骨格の中にO-Si-Oの構造の数がいくつあるかで何量体かがきまり、量体の数字が大きくなると沸点が高く、逆に量体の数字が小さいと沸点が低くなります。環境中で影響をおよぼすとされる量体は3量体~9量体程度といわれており、常温・常圧で気化し、雰囲気中を浮遊する可能性があります。昨今ではこれら低分子のシロキサンの発生(生成)を抑えたシリコーン樹脂も販売されています。OKIエンジニアリングではシロキサンに関わる事象について、お客様のニーズに基づきご提案いたします。
電子部品に対してシロキサンが不具合を誘発する例としてはリレーの接点不良が多く、密閉された部品の中に低分子シロキサンを発生させるシリコーンを使用していると、部品の動作熱により、シロキサンが発生し、リレー接点上に付着します。特にON/OFF回数の多いリレー接点は常時接点上に衝撃を与え、接点上に付着したシロキサンを酸化分解させ、二酸化ケイ素(SiO2)となり電気絶縁物として作用し接点障害を引き起こすというものです。
消化ガスとは、バイオガスの一種で、メタンを主成分としており、下水汚泥等の嫌気性発酵により発生させたものです。下水汚泥には様々な成分が含まれていますが、シャンプーや化粧品などに含まれるシリコーン成分(=シロキサン)もそのひとつです。シリコーン成分のうち、比較的分子量の小さいものを低分子シロキサンといい、低分子シロキサンは常温プラスαで気化します。低分子シロキサンを含有している下水汚泥に起因し、消化ガスには、不純物として低分子シロキサンが含有しています。消化ガスを発電機などの燃料ガスとして、使用すると不純物として含有する低分子シロキサンが燃料ガスの燃焼とともに酸化分解し、二酸化ケイ素(SiO2)を生成します。その二酸化ケイ素(SiO2)が発電機のプラグ、燃焼室、触媒などに堆積し機能を損なうため、消化ガスから低分子シロキサンを除去しなければなりません。
OKIエンジニアリングでは、暴露試験槽内を一定のシロキサン濃度に保つ試験環境を構築し、使用環境下における接点障害の再現試験や、シロキサン接点障害対策品の効果を評価いたします。