複数メーカーの同程度な機能を有する素子から一種を選定する際の、選定基準の一つとして、熱抵抗評価を行う。あるいは、既存部品の代替品を選定するための、品質評価の一項目とする。
素子選定の際の基準・比較表
システムに組み込んだ状態での評価が可能な「熱過渡特性解析法」ならではの適用例です。赤外線サーモグラフィ装置との組み合わせにより、製品全体の熱状態を把握可能なため、無駄・漏れのない評価を可能とします。 筐体に組み込んだ状態(最終製品形態)での熱特性評価(熱分布の測定)を行うことで、高温素子の特定が可能になり、熱設計の確認・改善が行えます。
OKIエンジニアリングでは熱過渡特性解析装置と、真空チャンバーを併用することにより、減圧条件下での熱特性評価を実施いたします。たとえば、高真空の宇宙環境や低気圧の航空機、高高度などのさまざまな減圧の環境条件で、高信頼性を要求される半導体デバイスの熱特性評価に対応可能です。通常、カタログ等に記載されているデバイスの熱抵抗値は、常圧大気中で計測した値です。そのため、熱の伝わる経路としては大まかに図1(A)リード線から基板への放熱、(B)パッケージ表面から大気への放熱、これら両経路が加わった放熱状態での熱抵抗値となります。
図1 デバイスの熱伝導経路図
ただし、宇宙用途等、大気が希薄な条件下で使用するデバイスを考えた場合には、図1(A)の経路からの放熱が主体となり、パッケージ表面からの放熱は真空中への僅かな熱放射しか望めなくなってしまいます。そのため、減圧条件下では放熱経路が縮小されることに伴い、接合部の温度上昇が大気中で使用した場合に比べて高くなってしまいます。図2はパワートランジスタを実測した結果の一例ですが、減圧条件下では最大接合温度が大気中での使用に比べて50%以上も上昇している結果が得られております。