伝導妨害: 装置の電源ラインや通信ラインを伝わる伝導性妨害波が、規格限度値を超えていないか評価する試験
装置の電源ラインや通信ライン(TEL/LAN等)を伝わる伝導性妨害波が、規格限度値を超えていないか評価する試験です。
放射妨害と同様、一般的に限度値はクラスにより異なり、クラス分けは使用環境により分類されます。医療機器等で要求されるCISPR11では、機器の動作により分類されるグループ分類があります。また、医療機器等で要求されるCISPR11では、電源ラインのみの要求ですが、マルチメディア機器のCISPR32やVCCIでは、通信ラインの要求があります。
試験には、装置と電源との間にLISN(擬似電源回路網:Line Impedance Stabilization Network、AMN:Artificial Mains Network)を挿入します。通信ラインの場合は、ISN(擬似通信回路網:Impedance Stabilization Network)を挿入しますが、通信ラインの種類や伝送速度により使用するISNが異なります。
伝導ノイズは伝送モードのコモンモードとノーマルモードの2つに分類して対策を実施する。
コモンモードチョークコイルとYコンデンサにより対策を実施する。Yコンデンサは、コモンモードノイズ電流をGNDに逃がす働きがある。特に10MHz付近の周波数の高い部分に効果があり。ただし、YコンデンサにはAC電源の周波数と電圧に応じた漏れ電流が流れるため、Yコンデンサの容量が大きいと漏れ電流が大きくなり感電する恐れがある。そのため、安全規格で規定されている漏れ電流について満足するよう注意が必要。
Xコンデンサやノーマルモードチョークコイルにより対策を実施する。 Xコンデンサはノーマルモードノイズに対してのみ効果があり。Xコンデンサはライン間の接続のため、破損しても感電の恐れはない。XコンデンサはYコンデンサより低周波数帯の150K-1MHzでの効果があり。
装置の電源種類や容量により使用する電源回路網が異なります。
KNW-407
KNW-244C
通信ラインの種類や通信速度により使用する通信回路網が異なります。
ISN T8-Cat6
FCC-TLISN-T4-02
伝導妨害試験の構成例(卓上機器)
スペクトラムチャート
測定結果[Result](dBμV)= 測定値[Reading](dBμV)+コレクションファクタ[c.f](dB)
コレクションファクタ[c.f](dB)=擬似回路網係数+ケーブル損失
規格 | ポート | 周波数(Hz) | クラス | |
---|---|---|---|---|
クラスA限度値 (dBμV) |
クラスB限度値 (dBμV) |
|||
CISPR 11/EN 55011 (グループ1) QP:準尖頭値 AV:平均値 |
AC | 0.15M-0.5M | QP:79 AV:66 |
QP:66-56 AV:56-46 |
0.5M-5M | QP:73 AV:60 |
QP:56 AV:46 |
||
5M-30M | QP:73 AV:60 |
QP:60 AV:50 |
||
CISPR 32/EN 55032 QP:準尖頭値 AV:平均値 |
AC | 0.15M-0.5M | QP:79 AV:66 |
QP:66-56 AV:56-46 |
0.5M-5M | QP:73 AV:60 |
QP:56 AV:46 |
||
5M-30M | QP:73 AV:60 |
QP:60 AV:50 |
||
電気通信 | 0.15M-0.5M | QP:97-87 AV:84-74 |
QP:84-74 AV:74-64 |
|
0.5M-30M | QP:87 AV:74 |
QP:74 AV:64 |
||
VCCI QP:準尖頭値 AV:平均値 |
AC | 0.15M-0.5M | QP:79 AV:66 |
QP:66-56 AV:56-46 |
0.5M-5M | QP:73 AV:60 |
QP:56 AV:46 |
||
5M-30M | QP:73 AV:60 |
QP:60 AV:50 |
||
電気通信 | 0.15M-0.5M | QP:97-87 AV:84-74 |
QP:84-74 AV:74-64 |
|
0.5M-30M | QP:87 AV:74 |
QP:74 AV:64 |
||
FCC Part15 Subpart B QP:準尖頭値 AV:平均値 |
AC | 0.15M-0.5M | QP:79 AV:66 |
QP:66-56 AV:56-46 |
0.5M-5M | QP:73 AV:60 |
QP:56 AV:46 |
||
5M-30M | QP:73 AV:60 |
QP:60 AV:50 |