EMC測定・製品安全試験

放射妨害: 装置から放射される放射性妨害波が、規格限度値を超えていないか評価する試験です。規格によって要求される測定周波数範囲および限度値は異なります。

放射妨害(放射エミッション、放射EMI、Radiated Emission)CISPR 11/EN 55011、CISPR 32/EN 55032、VCCI、FCC Part15 Subpart B

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放射妨害 CISPR 11/EN 55011、CISPR 32/EN 55032、VCCI、FCC Part15 Subpart B の概要

放射妨害試験の概要

装置から放射される放射性妨害波が、規格限度値を超えていないか評価する試験です。規格によって要求される測定周波数範囲および限度値は異なります。一般的に限度値はクラスにより異なり、クラス分けは使用環境により分類されます。医療機器等で要求されるCISPR11では、機器の動作により分類されるグループ分類があります。また、機器から放射される妨害波の強さは距離によって変化するため規格で測定距離が決められています。

クラス分類

クラスA
:工業環境で使用される機器
専用の給電システム持ち、限られた場所で使用する
クラスB
:一般家庭および軽工業環境で使用される機器
一般の家庭や事務所などで使用される機器で、使用場所を限定しない機器、また持ち運び可能な機器
グループ分類
グループ1
:グループ2以外の機器
RFエネルギー(電磁波)を内部機能の為だけに発生するか、または用いている機器
グループ2
:意図してRFエネルギーを発生または使用する機器
RFエネルギーを材料加工(医療機器では治療目的)の為に発生するか、または用いている機器
測定距離
3m
:FCC part15クラスB機器や測定周波数1GHz超の場合
(VCCIでは、供試装置の外周円の直径が√2m以下である装置に適用可)
10m
:CISPR/EN、VCCI等一般的には10mで測定する

対策時のアドバイス

周波数と波長の関係

放射妨害試験の構成例

ノイズ発生周波数により波長を算出し、ノイズ発生源になっている部分(筐体、ケーブル等)について疑う。
ノイズ対策では最小共振周波数1/4波長まで考える。

フェライトコア巻数の数え方

フェライトコア巻数の数え方

  • 巻かないで線を通すだけを1ターン
  • 1回巻き付けた場合を2ターン
  • 2回巻き付けた場合を3ターン

フェライトコアの巻数は上記通りとなるため、間違えて指示しないようにする。

測定周波数と使用アンテナ例

測定周波数により使用するアンテナが異なります。

周波数 9kHz~30MHz

周波数 9kHz~30MHz(磁界の強さ)の使用アンテナ

  • ロッドアンテナ
  • ループアンテナ
周波数 30MHz~1000MHz

周波数 30MHz~1000MHzの使用アンテナ

  • ダイポールアンテナ(80MHz以下 短縮ダイポール)
  • ダイポールアンテナ(80MHz以上 同調ダイポール)
  • バイコニカルアンテナ(30~300MHz)
  • ログペリオディックアンテナ(300-1000MHz)
  • バイログアンテナ(30~1000MHz)
周波数 1000MHz以上

周波数 9kHz~30MHz(磁界の強さ)の使用アンテナ

  • 広帯域ホーンアンテナ
  • 標準ゲインホーンアンテナ

試験構成例

放射妨害試験の構成例
放射妨害試験の構成例(卓上機器)

測定データ例

スペクトラムチャート
スペクトラムチャート

放射妨害試験測定データ
放射妨害試験測定データ(最終結果)

  • 測定結果(Result) [dBµV/m]= 測定値(Reading)[dBµV] +コレクションファクタ(c.f)[dB(1/m)]
  • コレクションファクタ(c.f) [dB(1/m)]=アンテナ係数+ケーブル損失+PAD+プリアンプ)

規格限度値例

規格 周波数(Hz) クラス
クラスA限度値(dBµV/m) クラスB限度値(dBµV/m)
CISPR 11/EN 55011
グループ1
QP:準尖頭値 AV:平均値 PK:尖頭値
30M-230M QP:40 [10m] QP:30 [10m]
230M-1G QP:47 [10m] QP:37 [10m]
CISPR 32/EN 55032
QP:準尖頭値 AV:平均値 PK:尖頭値
30M-230M QP:40 [10m] QP:30 [10m]
230M-1G QP:47 [10m] QP:37 [10m]
1G-3G(※1 AV:56 [3m]
PK:76 [3m]
AV:50 [3m]
PK:70 [3m]
3G-6G(※1 AV:60 [3m]
PK:80 [3m]
AV:54 [3m]
PK:74 [3m]
VCCI
QP:準尖頭値 AV:平均値 PK:尖頭値
30M-230M QP:40 [10m] QP:30 [10m]
230M-1G QP:47 [10m] QP:37 [10m]
1G-3G(※2 AV:56 [3m]
PK:76 [3m]
AV:50 [3m]
PK:70 [3m]
3G-6G(※2 AV:60 [3m]
PK:80 [3m]
AV:54 [3m]
PK:74 [3m]
FCC Part15 Subpart B
QP:準尖頭値 AV:平均値 PK:尖頭値
30M-88M QP:39 [10m] QP:40 [3m]
88M-216M QP:43.5 [10m] QP:43.5 [3m]
215M-960M QP:46.4 [10m] QP:46 [3m]
960M-1G QP:49.5 [10m] QP:53.9 [3m]
1G以上(※3 AV:60 [3m]
PK:80 [3m]
AV:53.9 [3m]
PK:73.9 [3m]
  • ※1: 測定周波数上限は、使用される最高周波数によって、以下の通りとなる
    使用される最高周波数が108M~500MHzのときは、2GHz
    使用される最高周波数が500M~1GHzのときは、5GHz
    使用される最高周波数が1GHzを超えるときは、最高周波数または6GHzのいずれか低い方
  • ※2:測定周波数上限は、使用される最高周波数によって、以下の通りとなる
    使用される最高周波数が108M~500MHzのときは、2GHz
    使用される最高周波数が500M~1GHzのときは、5GHz
    使用される最高周波数が1GHz以上のときは、5倍または6GHzのどちらか低い方
  • ※3:測定周波数上限は、使用される最高周波数によって、以下の通りとなる
    使用される最高周波数が1.705MHz以下のときは、30MHz
    使用される最高周波数が1.705M~108MHzのときは、1GHz
    使用される最高周波数が108M~500MHzのときは、2GHz
    使用される最高周波数が500M~1GHzのときは、5GHz
    使用される最高周波数が1GHzを超えるときは、第5高調波または40GHzのどちらか低い方
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