SiCパワー半導体のAC-BTI試験: 自社デバイスの信頼性確保や、部品選定および製品設計に必要な情報の取得をサポート
Siよりも優れた性質(高耐圧、低損失)を持つSiCを用いたパワー半導体が注目されています。
一方で、SiCパワー半導体の代表的な素子であるSiC MOSFETには、Si MOSFETでは見られない固有の劣化モードが存在し、スイッチング動作中にゲートへ印加されるACストレスにより、しきい値電圧のシフトが生じる場合があることが確認されています。多くの場合、しきい値電圧が正側にシフトしてオン抵抗が増加し、結果として消費電力の増加を引き起こします。
このゲートスイッチングによるしきい値電圧のシフト現象は、「AC-BTI※1」や「GSI※2」と規格によって異なる名称で呼ばれています。
また、この現象による特性変動量を評価する試験も、規格により「AC-BTI試験」「GSS※3試験」「DGS※4試験」と様々な名称が用いられています。以下の表に各規格ごとの呼称の対応関係を示します。
OKIエンジニアリングでは、本半導体テストサービスを通じて、自社デバイスの信頼性確保や、部品選定および製品設計に必要な情報の取得をサポートいたします。
団体/規格名 | JEITA EDR-4713 Amend.1 |
JEDEC JEP195 |
ECPE AQG 324 |
CASA T/CASAS 045-2024 |
---|---|---|---|---|
現象の呼称 | AC-BTI | GSI | GSI | 記載なし |
試験名の呼称 | AC-BTI | GSS | DGS(=GSS) | DGS |
AC-BTI試験装置
AC-BTI試験事例(DGS試験/GSS試験)を紹介します。製造メーカーが異なるSiCパワー半導体を用いて、しきい値電圧の変動量比較を行いました。製造メーカー・製品により、しきい値電圧やオン抵抗の変動量に差異があることを確認しました。
試験フローおよび試験回路図
ACストレス波形の例