CISPR 11:2024発行: 早めの対応をお考えのお客様に対しては、既に規格要求として反映されているマルチメディア分野 での豊富な試験実績から、CISPR 11最新版対応をサポートいたします。
工業用、科学用、医療用機器の電磁エミッション(以下、EMI) 要求事項は、CISPR 11で定められています。このたび、2024年2月13日付でCISPR 11:2024 (第7版) が発行されました。第7版は、旧版である第6.2版に対する技術的改版となります。
CISPR 11で定める試験方法や限度値は、医療機器の国際EMC規格IEC 60601-1-2, 計測機器の国際EMC規格群IEC 61326シリーズなどでも参照されており、上述の機器は今後、第7版への対応を求められる可能性があります。
また、対応する地域規格には欧州規格EN 55011があります。まだCISPR 11:2024に相当するEN規格は発行されておりませんが、この規格でCEマーキングを取得した機器も、将来的に対応が必要になると考えられます。
旧版である第6.2版と比較した主な変更点は、次のとおりです。
1. グループ1機器 (※1)に対する1 GHz超の放射EMI限度値の導入
最大内部周波数 (※2) が108 MHzを超える機器に対して、1 GHz超の放射EMI測定が必要になります。
クラスA機器 | クラスB機器 | |
---|---|---|
1 GHz – 3 GHz | 76 dBμV/m:ピーク値 56 dBμV/m:平均値 |
70 dBμV/m:ピーク値 50 dBμV/m:平均値 |
3 GHz – 6 GHz | 80 dBμV/m:ピーク値 60 dBμV/m:平均値 |
74 dBμV/m:ピーク値 54 dBμV/m:平均値 |
2. 有線ネットワークポートに対する伝導EMI限度値の導入
広域に分散したシステムに相互接続することが意図される、有線LANなどのネットワークポートの伝導EMI
測定が必要になります。
クラスA機器(電圧のみ記載) | クラスB機器(電圧のみ記載) | |
---|---|---|
0.15 MHz – 0.5 MHz | 97 dBμV - 87 dBμV:準尖頭値 84 dBμV - 74 dBμV:平均値 (周波数に対し対数で減少) |
84 dBμV - 74 dBμV:準尖頭値 74 dBμV - 64 dBμV:平均値 (周波数に対し対数で減少) |
0.5 MHz – 30 MHz | 87 dBμV:準尖頭値 74 dBμV:平均値 |
74 dBμV:準尖頭値 64 dBμV:平均値 |
3. 無線送受信機能を内蔵する機器に対する要求事項の導入
無線機器を搭載するEUTは、無線機能を待機モードまたは受信モードにして評価する必要があります。代替と
して、EUTの無線部に由来するものであると証明できれば、キャリアやスプリアスの周波数を無視して、
送信モードにしてEUTを評価することもできます。
ただし、送信モードで評価する場合は、キャリア周波数帯周辺のエミッションが検出できなくなる可能性が
あるため、慎重に検討が必要です。
4. 各種ロボットの定義や、ロボット測定時の動作条件等の考慮
加工・組み立てロボット、医療用ロボット、教育・実験用ロボットなどが、CISPR 11の要件に含まれます。
詳細はIECのページ(外部サイト:International Electrotechnical Commission)〔PDF:615KB〕も
ご参照ください。評価時は、ロボットの種類に応じて複数の動作モードを考慮する必要があります。
固定型ロボット | モバイルロボット | |
---|---|---|
モード1 | 待機状態 | 充電 (充電量20 %以下から試験開始) |
モード2 | 定格負荷、定格速度、規定された 最大姿勢と軌道での通常動作モード |
定格負荷、定格速度の通常動作 上記が同時に実現できない場合は それぞれ順番に評価する |
モード3 | 上記パラメーターの約半分での 通常動作モード |
上記パラメーターの約半分での 通常動作モード |
上述のとおり、各製品群規格や欧州EMC指令2014/30/EUに反映されるのは時間がかかる見込みです。
早めの対応をお考えのお客様に対しては、既に規格要求として反映されているマルチメディア分野 (CISPR 32, EN 55032, VCCI等) での豊富な試験実績から、CISPR 11最新版対応をサポートいたします。
無線機能が送信状態の場合の評価でも、正確な測定が可能です。