微量水素ガス濃度測定: ppmオーダーレベルの微量な水素ガス濃度を測定
政府が掲げるカーボンニュートラルの実現に向け、水素社会は重要な分野のひとつとして位置づけられています。水素は、燃料電池車、エネファーム、発電、製鉄など、幅広い分野で利用されています。国の水素基本戦略によれば、2020年度の使用量は0.4万トンですが、2030年度には30万トンへ増加させることを目標としており、将来的には1000万トン以上の利用が見込まれています。今後、水素はさまざまな場面で活用が拡大していくことが予想されます。
このように利用が拡大している水素ですが、可燃性が高いだけでなく、金属や樹脂に混入すると脆化を引き起こすことがあります。OKIエンジニアリングでは、最小10ppbの微量水素の高感度分析や環境雰囲気中の水素濃度測定サービスを提供しています。詳しくは、測定事例をご覧ください。

センサーガスクロマトグラフ
当社の化学実験室において、水素濃度の連続測定を実施しました。
まず、実験室に設置された外調機の吹き出し口で採取した結果、水素濃度は概ね0.7ppmで安定して推移していました。次に、実験室内部の雰囲気を採取・測定したところ、若干の変動はあるものの、概ね0.8ppmで推移していました。
最後に、実験室の窓から外気を採取して測定した結果、空調機の吹き出し口よりもやや低い0.7ppm弱で推移していることが分かりました。
外気や実験室空調機の吹き出し口と比較して、実験室内の水素濃度がやや高いのは、ガスクロマトグラフの検出器用として水素発生機を用いているためと考えられます。使用された水素のほとんどは検出器で燃焼・消費されるため危険性は低いものの、ごく微量の未燃焼水素が実験室内に拡散している可能性があります。このように、ごく微量な水素濃度の差も安定して測定できることを確認しています。
また、並行して一酸化炭素濃度も測定しています。実験室内の一酸化炭素濃度は安定していた一方、外気の一酸化炭素濃度は大きな変動が見られました。これは、外気の採取地点が一般道に面しているために、駐車中や通行中の車両の影響を受けているものと推察されます。

当社化学実験室および外気の水素濃度推移